インターン開始
夏のインターンが始まった。初日を前に、直接の上司となる女性スタッフに「勤務時間は9時から5時でいいんですよね?」と再度の確認メールを送ったら(早口の彼女と電話で話すのは避けたいのが人情というもの)、非情にも、返事はメールではなく留守電に入っていた。いつもながらの早口で、どうやら「月曜日は学校が休みなので、子どものいるスタッフはみな午前中は来られない。12時以降に来てね」と言っているように思われるが、3回聞いても確証が持てないし、妻に聞いてもらっても分からない。ちょうどお邪魔することになっていた知人の家で、アメリカ人の旦那さんに「留守電の内容に確証が持てないので、代わりに聞いてください」とお願いする。耳を澄まして、「12時前に来ても誰もいない、と言っている。大丈夫」とカールさん。よかった(と喜んでいいのやら・・・)。
新しいテーブルで
カリフォルニアに住む若い友が、重い病気で緊急に帰国しなければならなくなった。小さなかわいい子供のいる、絵に描いたような家族だったのに、あまりに唐突な事態に動揺し、悲しみ、落ち込んだ。
帰国直前のお見舞いに、既に病院に入っている彼を訪ねたら、当の本人はずっと勇気があって、気持ちを強く持っていた。今後の治療生活に不安がないはずはないだろうに、そんな不安よりは事態を正面から受け止める潔さに満ちていた。
そして、僕たち家族は、彼ら一家が気に入って使っていたテーブルを、急遽譲り受けることにした。どっしりとした厚みのある木のテーブル。たしかな命の宿ったテーブルは、我が家の何げないバークレー生活の重心をずらし、世の中の尊さをはっきりと照らし出してくれた。テーブルが我が家に来た最初の晩、妻が厳粛な熱意をもって料理したのは、甘味を引き出した玉ねぎベースのシンプルなトマトパスタ。食後は、光をごく暗く落として、シナモンを効かせた濃いショコラショーを作り、ゆっくりとゆっくりと飲んだ。
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Category : 北カリフォルニアでの日々
初夏の散歩
初夏のバークレーの鮮やかなうつくしさは目を瞠るほど。空は完全な紺碧。庭々に咲き誇る色とりどりの花と、風景から浮き出てくるような生命力あふれる緑。通りを歩けば、そこら中でバラやジャスミンの香りが鼻をくすぐる。
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Category : 北カリフォルニアでの日々
誕生日の風物詩
最近は日本も同じなのかも知れないけれど、こちらでは子どもの誕生日が実に盛大に祝われている。そして、かなりの頻度で「ジャンプハウス」というテントのようなものが登場する。いつもは何もない空き地に忽然と↓こういう巨大な物体が出現していたら、それはだれかの誕生日という印。中に入ってトランポリンのように飛び跳ねて遊べるこのアトラクション、子どもたちには大人気。いくらだったか忘れてしまったけれど、びっくりするほど安い金額で、設置サービス付きでレンタルしてくれるらしい。
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Category : 北カリフォルニアでの日々
バターモチ、そしてテリヤキ
こちらでは、学校でも、「ポットラック=持ち寄り」の機会が多い。イベント時はもちろん、通常の授業でも、「最終回はみんなでポットラック・パーティをしよう」などということが起こったりする。内容は実におもしろく、料理の得意な子は非常に美味しいものを作ってくるし、得意でない子はポテトチップスを買ってきたり、ビールを買ってきたり、ケーキを買ってきたり。こんな時にもトルティージャ・チップス&サルサは大活躍。
先日のSTATA Workshopの最終回には、ポテトグラタンのようなものが耐熱皿にデーンと入っていて、最初から目が釘付けになる。近づくと、たまたま作った本人がそばにいて、周りの子と「これはバターモチよ」「へぇ、バターモチ!」「わぁすてき!」などと話している。食べてみると、フランスのフランをもっと「モチ〜」っと重くしたような食感で、卒倒するほど甘いけれど、なかなか忘れられない趣向のお菓子だった。帰ってきて調べてみると、その名のとおり餅粉を使っていて、どうやらハワイの家庭のおやつとして有名らしい。
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Category : 北カリフォルニアでの日々
チップスの日々
こちらに来てから、すっかり手放せなくなったトルティージャ・チップス。「そんなジャンキーなもの」と侮るなかれ。メキシカンのお店に行けば、付け合わせとして必ずお皿の端に無料で添えられてくるほど、「料理」としても市民権を得ているこのチップス。フレッシュトマトとシラントロの真っ赤なサルサ・フレスカや、ワカモレというアボカドソースで食べるのが一般的で、その色彩感も手伝い、演出によっては華やいだパーティ料理のような風格さえある。
初夏の夕暮れ。少し早めにこのチップスと濃い目のビールで始めるくつろぎ時間は、ほかでは代えられないたのしみ。
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Category : 北カリフォルニアでの日々
夏休み!
ついにすべてのテストや課題を終え、晴れて3ヶ月半の夏休みに突入(とは言え、そのうち2か月半はフルタイムでインターンをするのだけれど)。
ハードだった今学期は、苦労の分だけ(?)得るものは多く、本当に勉強になった。まだまだ専門的な知識やスキルというところまでは差があるものの、経済も統計も予備知識ゼロだった入学前のことを考えれば、「ここまで来た!」という充実感は相当なもの。今学期の初めの方のノートを見返すと、「こんなのはもう簡単!」と思える自分がいて、そんな時は自分なりの進歩を実感できる。より本格的な授業が始まる秋学期がたのしみ。
それにしても、課題に追われ続けた今学期。約15週間のうち、10週間くらい「今週が山場!!!」という週があって、「いつになれば山場が終わるのかしらねぇ・・・」と妻に呆れられた。終わってみて、何がどう大変だったのだろう、と15週間の課題をざっと総括してみると・・・
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Category : アメリカの大学院での日々
娘の卒業式
もうすぐ上級生の卒業式。そんな中、学部長のHenry Bradyから全学生宛てにメールが入って、「娘の大学の卒業式がちょうど同じ日に重なってしまったので、私は出席できません。私の代役を務めてくれる××教授、どうもありがとう」。
すばらしい!と感激。これは(これも)日本ではお目にかかれないパターンだろうな。しかも、さわやかなのは、彼が何ら悪びれないこと。曰く、「出席できなくて本当に本当に申し訳ないけれど、(卒業生よりも)娘の方が私とのつき合いは長いし、何があっても彼女の卒業に立ち会わないということはありえないのです」・・・!!
責任ある立場の人が、正面切ってこう言えて、(たぶん)だれも文句を言わないところが、アメリカの好きなところ。実際問題、校長が卒業式の場にいなくて、誰が困るだろう。この自由さはいいなぁ、そして、みんなが余計な我慢をせずに自分のトータルの優先順位を守れる―結果的に心の余裕につながる(はず)―文化はいいなぁ、と思う。
みんなが幸せになるための有効な第一歩は、意外とこんなところにも隠れている気がする。日本人はきっともっと幸せになれる!
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Category : アメリカの大学院での日々