2019.11.08 Friday

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2012.10.11 Thursday

みんなともに生きるのだ

我が家の大家さんプラサドは、すばらしい人物。さすがインドの物件だけあって、ひどい時は毎日のようにトラブルが発生する(昨日はエアコンから土砂降りのような水漏れ、今日は食卓の椅子のひとつが着席中に崩壊、その次はインターネットの接続が我慢の限界を超える不調…といった具合)。そのたびに、電話をすると、「わかった」と言い、大抵はその日か翌日のうちに見に来てくれる(結果としてトラブルが解決するかどうかは別問題で、崩壊した椅子は3週間経った今もそのままだけれど)。

いつも超然としていて、風格さえ感じさせる初老の紳士。お礼を言うと、いつも決まって「君たちは僕のゲストだ。僕が助けなければ、君たちは一体どうなってしまうんだ!?」と大げさなセリフを返してくれる。つくづく良い大家さんに恵まれたと思う。

最近は、家の至るところを蟻が歩いており、時には食器棚の皿の上を歩いていることもある。台所で、はちみつの瓶を少しでも開けっ放しにしようものなら、すぐに「蟻のはちみつ漬け」ができあがっているし、ゆでとうもろこしの皮をそのままごみ箱に入れようものなら、ごみ箱から壁にかけて長い蟻の行列ができあがる。殺虫剤の類は極力使いたくないので、とにかく甘い物の管理に徹底的に気を配り、お菓子が入っていた箱や袋などは、翌日のごみ出しの直前まで冷蔵庫の中に保存するという、かなり神経症的な生活を余儀なくされている。

先日プラサドが来たとき、何となくそんな話をしてみた―「うちはこんなに蟻が出るんだけど、プラサドのところは大丈夫なの?」またしても超然と、プラサドは表情ひとつ変えず、まるで哲学者のように答えた―「うん、蟻はいる。蟻も、クモも、ヤモリも、犬も、鳥も、they all live with us(みんな一緒に暮らしている)。We all live together(みんなともに生きているんだ)。」

ほとんどジョン・レノンを思わせるような突き抜けた言葉に、「ははー、参りましたー」という気分だった。実害のほとんどない、ちっぽけな蟻にイライラしていた自分が、何だか恥ずかしいような気になった。言葉の威力とは凄いもので、以後、室内を歩き回る蟻の姿を目にしても、以前とは違って、「そうかー、一緒に暮らしているんだなー」などと寛容に受け止められる自分がいる。インドの偉大なる共生の精神を教えてくれたプラサド、ありがとう。 

2019.11.08 Friday

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