2016.05.13 Friday

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2012.08.12 Sunday

わが心の料理本

渡米前、妻とふたりで所有する料理本のコレクションはゆうに数十冊を超え、当然ながらアメリカに料理本を持っていくような余裕はなかったので、8割をフリーマーケットで処分し、2割だけを手元に残し、妻の実家に置かせてもらった。ふと気が向いて、今日の午後はそれらの生き残った本たちを眺めて過ごす。

眺めているだけで、襟元を正され、五感が冴え、エネルギーが満ち満ちてくるのが、米沢亜衣さんの3冊。驚異のデビュー作『わたしのイタリア料理』、そして、完全に料理本の域を超え、手に取るたびに崇高な気持ちに満たされる連作『イタリア料理の本』『イタリア料理の本2』。彼女の料理観と文章の見事さはちょっと他の追随を許さない。わずかの期間だったけれど、東京で開かれていた料理教室にも通うことができ、幸運だったなあと改めて思う。

もう1冊、たぶん一生手放す気になれないのが、巨匠有元葉子さんのごく薄い一冊、『時間をかけない本格ごはん、ひとりぶん』。10年前、まだまったく料理ができなかったとき、最初に持った料理本がこれ。言わば、わが料理の原点。手軽の極致。なのに驚きの美味しさで、瞬く間に料理のおもしろさにとりつかれた。以来、料理が苦手な友人から「おすすめの料理本ない?」と訊かれる度に、必ずこの本を紹介したり、プレゼントしたりしている。自分が確認できている限りでも、これまでに二人、ほとんどまったく料理ができなかった友人がこの本をきっかけに料理好きに転じているので、これは自分の買い被りではないものと確信している。菜食中心の食生活に移行して、だんだん使用頻度は減っていったけれど、この本への感謝はいつまでも変わらない。特に、これ一冊で、並みのレストランよりずっと美味しいパスタが何種類も作れるようになった自信は大きい。

そのほか、渡米直前に出会って大興奮し、わざわざアメリカまで持って行ったほぼ唯一の本が、葉山在住らしいのにまだ一度もお目にかかったことのない白崎裕子さんの『にっぽんのパンと畑のスープ』。第二弾の手打ち麺の本も期待を裏切らない内容の濃さで、発売されるやいなやアメリカに届けてくれた友人に感謝した。

カリフォルニアでも、時々本屋を覗いては、「何か良さそうな料理本はないかな」と探してみたけれど、買いたいと思わせられるような本はほとんどなかった。唯一、アリス・ウォータースの分厚い本は、彼の地の食材をたしかな哲学で調理する肝のすわった感じが魅力で、所有物に加えた。ほかは、日本の料理本のセンスと美しさに比べると見劣りがするものが多く、趣向としてもいかにも華やかなパーティ料理というものが目立ち、そそられなかった。

勉強の忙しさにかまけ、ほとんど料理というものを忘れてしまった2年間。わが心の料理本たちを再訪し、インドで再び料理しよう、という意欲がふつふつ湧いてきた。 

2016.05.13 Friday

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