2016.05.13 Friday

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2011.06.24 Friday

サンフランシスコの
ゼロ・ウェイスト

インターン先の紹介で、サンフランシスコ市のゼロ・ウェイスト関連施設の一部を2日間にわたって視察させてもらった。

世界に名をはせるサンフランシスコ市のゼロ・ウェイスト。全米ナンバーワン、驚異のリサイクル率77%*。全市民・全事業者に生ごみリサイクルを義務づける世界初の条例施行。資源化事業に低所得者を多数雇用する「グリーンジョブ創出」。正直なところ、「聞こえはよいけれど、実際の分別はいい加減だし、そもそも無駄の多い社会だし、果たしてどの程度・・・」と思っていた。蓋を開けてみれば、もちろん、決してすべてが理想的なわけではないかもしれないけれど、その爽快ですらある推進力の強さには、ただただ感服するしかなかった。
*2008年。日本のリサイクル率は20%。ただし、日本とは事業系ごみの区分が異なり、建設廃材等のリサイクルも含む。

サンフランシスコ市は、2020年までの焼却・埋め立てゼロを公式な目標に掲げて、ごみの資源化減量化に取り組んでいる。2010年までの「リサイクル率75%」の目標は既にクリア。若い担当者によるプレゼンテーションは、冒頭から、ゼロ・ウェイストの本質に力強く切り込んでいく。これはサンフランシスコに限らないかもしれないけれど、とても役所の職員の言葉とは思えない。どこかの先進的環境団体のプレゼンと錯覚するほど。

市民はごみを、三色のカートに3分別している。[个離ート(堆肥化するもの=生ごみ、草木、汚れた紙)、∪弔ぅート(リサイクルするもの=きれいな紙、プラスチック、ガラスびん、缶)、9いカート(埋め立てごみ)。その他、古着、粗大ごみ、電化製品などは、業者による直接回収(10個まで無料)、電池はジップロックに入れて黒いカートの上に載せる、電球などの有害ごみは市内の回収拠点への持ち込みが基本(大量の場合は無料引き取りも可)。すべての収集・処理は、Recology(リコロジー)という業者が一括して請け負い、市民や事業者からの手数料収入でしっかり利益まで出しているらしい。

いちばん衝撃的だったのは、生ごみと一緒に、汚れた紙類を堆肥化のカートに入れてよいこと。宅配ピザの紙箱を見せながら、「これも大丈夫です」と担当者。紙コップも、テイクアウトの紙容器も、お茶パックも、紙ナプキンも、全部一緒に堆肥化してしまうらしい。「肥料の質は大丈夫なの???」と心配になってしまうけれど、「これもダメ、あれもダメ」が多すぎてなかなか実現に至らない日本の生ごみ資源化のもどかしさを思うと、「このくらいシンプルだからこそ、実現できるのだなぁ」と改めて目から鱗。

堆肥化施設はまだ見学していないけれど(近々行ってみたい)、担当者曰く、「旧来の堆肥化と違って、臭いの問題も解決した」とのこと。日本では、せっかく生ごみを堆肥化しても、農家が敬遠して、買い手が見つからない、などという話をよく聞く気がするけれど、サンフランシスコの生ごみ堆肥は「有機農家がこぞって使うので、むしろ生産が追いつかないほど」と言う。うーむ、何でこんなに違うんだろう。「最初からそんなにうまく行っていたんですか?」と訊ねると、「堆肥の使用は珍しいことではないし、堆肥を使えば作物の出来が違うから、それを見た他の農家もどんどん真似をする」との答え。有機農業の市場の大きさがそもそも違うのかなぁ、そして、均一な形や質を求めすぎる日本の画一的な農産物市場も、またひとつの阻害要因なのかなぁ・・・などとぼんやり考える。

青いカートに一緒くたに入れた資源物は、MRF(Materials Recycling Facility)という機械選別施設に運ばれる。高速道路に乗って、市内すべての資源物が運ばれてくるというMRF「Pier96」を見学。



最近まで発電所も隣接していたこの地区、過去には土壌汚染が検出されたこともあるらしく、近くにあるのは低所得者の公営住宅ばかり(OJシンプソンもここで育ったとか)。



Pier96では、この公営住宅から、無収入者・低所得者を作業員として100人以上雇用しているのだという。時給は20ドルからスタート、社会保険完備、ということで、低所得者にとってはまさに夢の雇用だ。

機械選別の様子を見ると、なかなかうまく機能している。コンベアーに載せられたごみの山。軽い紙は上方へ、重いガラスや金属は下方へ、ざくざく選別されていく。こうして一次選別されたものを、作業員たちが手作業で選別していく。





「夢の雇用」とは言え、この騒音と、埃と、微妙な臭気の中、1日8時間、週5日延々と手選別するとは、グリーンジョブの現実的な厳しさも実感させられる。こうして、収集された「資源物」の90%が選別資源化され、残りの10%が「残渣」として埋め立てに向かう。

力強い政策を矢継ぎ早に繰り出して、結果を出してきたサンフランシスコのゼロ・ウェイスト。実際に街を歩いてみれば、飲食店のパッケージごみの無駄ぶりは凄まじいし、道端に設置されたごみ箱は文字通り滅茶苦茶。ポイ捨ても目立つ。決して、ゼロ・ウェイストが肌で感じられるような街ではなく、そんな中での推進と成果はまさに「力技」といった印象もある。サンフランシスコを含め、当地に住んでいる日本人の多くは、「アメリカって本当にごみがいい加減ですね」と異口同音に言う。環境団体の人たちでさえ、日常的に使い捨てのテイクアウト容器やコップを普通に使っていたりするし(日本だったら批判されそう)、本当の意味での「無駄ゼロ」はどこに???という気持ちに駆られる部分もある。

でも、そんな中にあっても、内外にアピールできる結果を作ってしまうところにアメリカ(というかカリフォルニア?)の強さを感じたし、これは見習わなければならない部分だと思った。これまでも、これからも、自分は日本を誇りに思っているし、ごみに関しても、日本はアメリカよりも総じて無駄が少なく、国民のモラルも高い気がしている。でも、日本はもしかして細部にこだわり過ぎている???完璧を目指し過ぎている???インターン先の上司に「日本は10分別も15分別もして、リサイクル率はたった20%!?8割は焼却!?一体何をリサイクルしているの?」と質問されたときは、思わず絶句してしまった。

つい先だっても、生ごみの全面資源化を真剣に検討していた<先進都市>鎌倉市が、生ごみ資源化施設の建設を断念したというニュースがあった。決して、家庭系生ごみの資源化を「簡単」などと言うつもりはないし、アメリカでもまだ、ほとんどの自治体は着手できていない模様。でも、一方で、お隣の韓国や、ヨーロッパ諸国では、既にかなり進んでいるという話も聞く。とにかく、ごみの主役である生ごみに無理やりにでも取り組まない限り、日本はいつまでもワールドスタンダードには追いつかないし、焼却大国の汚名からも抜け出せないし、こんなに喧々諤々ごみに取り組んでいる努力は報われない。なのに、様々な課題が邪魔して、それがなかなかできない、というのが今の日本の現状なのだなぁ、と思う。何だか考えさせられてしまった。 

2016.05.13 Friday

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